東口 清子さん(四條畷市商工会女性部
<私の経営体験>
    皆様こんにちは。私は楠まさつら公ゆかりの四條畷市から参りました、大阪の衛星都市として発展してきたそんな街で商いをやっております。
    私共の商売は屋号を大政木材工業鰍ニいいまして材木商をやっております。この社名は先先代が大工の政吉だったので、大工の大、と政吉の政、で大政、そして木材以外の物品も製造販売する為に工業とつけただけの事業所です。従業員は社長以下10人余りで、大半が親類縁者の集まりです。
    材木商と言えば外で働く事が多いので暑い、寒い、重い、汚い、現代の若者にはあまり好かれる職業ではないのです。いまのお母様がたは子供たちに高度な教育を付けて戴くので、クーラーの効いたきれいなオフィスで働くことを望んでいる人が多いみたいで、我々の職場に着きたい若い人は非常に少ないのです、その上高度成長の時期に育ったから、物を大切にする事が無く、自分に大変やさしく、何事にもはじらいが無く、辛抱して自分自身成長しようという気が無いのです。
    当社にも3人の若者がいますが、遅刻は平気、給料から手当てを引いても遅刻が治らない、給料が少々少なくなっても朝寝坊がしたいと言います。
もう独りはアルバイトから正社員にしたとたん、月曜日になるとよく頭が痛いと休みます。
もう一人は給料を貰って、10日すぎれば1円も無くカードローンを組んでいるみたいです。
    でも、こんな子達ですが、気持ちはとてもやさしいし、ひまな時自分で仕事を探してまではしませんが与えられた仕事はやっているみたいです。若い従業員は会社の宝です、この子たちも、やがて、人の上に立ったり、人の親になった時、常識の解る人間にしたく思うのです。 
そこで、我が子が増えたと考え、私が少しずつ変えてやろうと思い、本人に納得させ給料の端数を天引き貯金してやるとか、朝早くから電話で起こすとか、休日はあまり遅くまで遊ばないように注意したり、毎日若い者に振りまわされながら楽しく暮らしております。
     この2・3年前から不景気の風がじわじわ、とやって来ました、順風満帆に帆を張った大政号も、此れほどの不景気が続きますといつもの私なら 奥さん、忙しおまっか? と聞かれたら マアマアボチボチデスワ! と答えるのですが、「あきませんひまでひまで」と答えているのです。
そう答えながら、此れでは駄目だ何かせなあかんと思いながらも、なかなか経営改善が出来なかったのです、材木商は、男社会です、古い風習が未だ残っているのか女の私が言い出すと、男の面子が立たないのかすべて反対されるのです。
    でもほっとけません、先ず自分に出来る事から始めようと思い、コンピューターを入れたんですが、皆様御存じでしょうか?材木は未だに寸尺で仕事をしているものです、例えば、長さ4mの4.5cm角と言えば、此れは2間の15角と言い、3mを10尺、2mは1間、おまけに国内産の材木と外国の材木とは少し寸法が違うのです、まだまだ色々有ります、それで、なかなかソフトも揃わず、苦労いたしました。
おまけに、年配の男共はなかなか馴染んでくれませんでしたが日が経つに連れ便利さが解り、今では多いに活用しております、一番助かっているのが給料日です、今までなら3時間ぐらいかかっていた給料明細が今では20分ぐらいで出来上がるのですから、コンピューターの理解の出来ない主人さえも給料日になると オーイ、ピピ と出してくれといいます、なにがピ・ピやと思いながらもキーを叩いています。
    次に朝8:00から夕方6:00までの営業時間を朝6:30より夕方7:00迄、と変更致しました。どうしてそんな時間から開けるのかとよく聞かれるのですが、朝は大工さん達が現場に行く前に足らずの材料を取りに着てくれるのです。夕方は6時ぐらいから工務店の社長や大工さんが立ち寄ってくれさしずめ小さな居酒屋かスナックに変身するのです、店で飲ますカンビールや少々のおつまみぐらいは、主人や店の者が、使う接待交際費に比べれば安いものです、その上あくる日の材料を注文してくださるのです。
でも善い事ばかりでは有りません欠点も有ります。それは従業員には強制できず、自分の主人さえも非協力的なのです。
     その上主人以外の男性から仕事の愚痴を聞かなくてはいけない事です。男性というものは、日頃おとなしい人でも少しお酒でも入ると途端に変身して、自己中心で自分勝手でおまけに女性に対しては服従する女が一番であるが如く演説がはじまるのです。私はこんな男どもは、あまり好きでは有りませんが、商売・商売と思い聞いております、それから朝はやくから開けていますと大きなトラックに材料を運んで来ます、運送屋さんは夜積みをしているので朝早くから下ろしたいそうです。先代の社長の教えの中に得意先もメーカーも大事だが、荷物を搬入して来るひとは大事にする事、とあります。仕入れてやってるからとか、買うてやってるからではなく、荷物を下ろしたら終わりではなく、此処なら又何時でも配達してやろうと思わせる事が大切なのです。おまけに荷物を大切に扱ってくれます。今までは朝8時前後は、お客様の車、社員の車、それに、搬入業者の車、ひどいラッシュでした、そこでホークリフトの免許を取り段取りよく下ろしてやることにしたのです、リフトは構内では免許は要りませんが、なにか事故が起こった時労災が効かないのです、今では従業員が来る前に材料が入荷しているのでラッシュも少なく仕事もしやすく成っています。
色々の事を考え自分の時間を費やしながら頑張ってきました、頑張れば何とかなる結果は後からついて来ると思いつつ今日迄まいりました。
     私が東口に嫁いで30年以上になります、昔、映画やテレビを見ていますと材木屋のおかみさんと言えば、奥座敷に座りお茶や、お花にお芝居にと毎日着飾って暮らして行けると思っていました、でも私は東口家に嫁いだのではなく大政木材に嫁いだのだと気が付いたのはだいぶ経ってからでした。当時私の体重も52k容姿端麗で色が抜けるように白く道行く人が振り返ったぐらいです。ところがどうでしょう今では体重が67k容姿トン麗でおまけに毎日店で材木をさわっているので色は黒く成り、腕は筋肉隆々になりました。恐がっているのか、道を歩くと、みんな前を開けてくれます。
     それに引き換え男前の主人は映画や、芝居に出てくるか如く、毎夜ライオンズクラブや納税協会やと夜の街に消えていきます。しかし朝目を覚ますとちゃんと帰って私の横に寝ているのです、なんと優雅なことでしょう。
こんな筈では無かったのにと思いつつも朝店を掃除して水をまいていると、又今日1日頑張ろうと思ってしまうのです、不景気が此れほど続くと女を強くたくましくしてくれるものかと思いました。
     この発表会に出るに当たり、色々考えてみたのですが、結果取り留めのないお話になりましたが、私の日頃の生活の何分の1かを皆様にお聞きいただいてみようと思い立ちました、如何でしたでしょうか!
最後までお聞きいただき有難うございました。
 
BACK